創作や現実で見たそれは、時に甘酸っぱかったり、時にほろ苦かったり、そんな表現がされていた
だからきっと私にももしそういう時が訪れた時、私の中に味が広がるんだと何となく思っていた
トレーナーさんに彼女が出来た
年頃のウマ娘の世話を独身男性がするのもどうか、と言う事で見合いをしたらしい
そこで出会った彼女さんは私と同じくウマ娘オタクらしく、初めて顔を合わせた時は会話が弾んだ
…味は何もしなかった
だから同性で同じ趣味の友人が出来たことに私は大変喜んだ
トレーナーさんが結婚した
結婚前提のお付き合いだった事もあってすんなりと決まった
あんな気立ての良い人が奥さんになるんだから、トレーナーさんは幸せ者だ
…味は何もしなかった
だから戦友の門出を私は大変喜んだ
コメント
ファル子さんがようやくトレーナーさんと結ばれたのが今回の題材
幸せそうな彼女の顔が尊くて、ペンを走らせてみた
…薄い渋い味がした
だから何となく描くのをやめておいた方が良いだろう、と筆を止めた
聖地巡礼をして見る
実はこの日はトレーナーさん夫婦から聖地巡礼に誘われていた
だけどいっつも私と仕事しているんだし、せっかくの休みの日なんだから家族サービスをしなさいとトレーナーさんに言った
だから今は一人でウマ娘ちゃんたちの軌跡を辿っている
尊みMAXな空気を吸って私の心はとても豊かに…
「ここ…トレーナーさんと以前来たな…」
…豊かだったはずの味は薄くなっていた
スマホが鳴ったので開いてみると、トレーナーさんから通知が来ていた
私のグッズで身を固めた…幸せそうな二人の写真がまず目に入った
その後から来たメッセージにはこう書かれていた
『聖地巡礼デート楽しんでるから時間できたら合流しよう』
「……デート」
初恋には味がある
私には縁がない物だからと、深く考えずそう言う物だと思っていた
「…ふっ…ぅ…ずっ……うぅ…」
自然に溢れ出した涙が頬を伝い、口の中に入ってくる
…味は何もしなかった…わからなかった
それを知るには時間が経ち過ぎていた
だから私の「それ」は、どんなに取り除こうとしても、忘れようとしても、
私の中にどこにでもあって
どこにあるかも分からなくて
ずっと張り付いている
ずっとずっと
これからの人生の味を薄めていくのだ
歩道の隅で一人
私は取り除けない痛みで泣き続けた
海外遠征から帰ってきて、ドリームリーグに進むか、別の道に進むか…
進路という将来の問題で、少し気が滅入ってしまっているのが原因だろう
今日はお休み…トレーナーさんと聖地巡礼の日だ
進路についてはトレーナーさんも気にかけており、気分転換と言う事で誘ってくれたのだ
「…」
昨日用意した、今日の着替えを見つめる…いつもの着慣れている服装だ
「……確か」
ふと思い出し、クローゼットを開いて奥の方を漁る
ウマ娘の店員さんにデートにどうですかと薦められ
自分にはそう言う展開はないと言ったのだが
ウマ娘ちゃんの押しに負け買ってしまったオシャレ着
「……」
オシャレ着をそのままハンガーに掛けいつもの服を仕舞った
これを着た私を見て、トレーナーさんはどんな反応をするだろうか
恥ずかしい事にならないか心配しつつも、身だしなみを整えるためバスルームへと向かった
デジたんがどうやって大人になるのか興味があるのでそう言う怪文書下さい
お前が書…書いてね?
結果的にデジタルが一歩先に進めたのでよし!
……
遠征帰りってあるしデジたんも大人になる頃合いか
結果的に幸せになりそうな展開だからヨシッ
当たり前のように綺麗とか言うのがデジトレ
俺以外に好きな奴初めて見た
もしかしてトレーナーとの関係もここまででは、と焦っちゃいそう
万能過ぎる…あって良かった…